カレシが嫉妬を覚えたら

あの日、というのは煌くんと初めて一緒に帰った日だ。


私にとっては如月くんと出会った日、ではなく煌くんと初めて一緒に帰った記念日になっているから、如月くんの存在なんて忘れかけていた。



「今まで俺に近づいてきた人たちと違って、慧に色目を使うどころか苦しそうだった」



私がなびかなかったのはきっと、如月くんが最初から見下した態度で接してきたというか、なんというか“こいつチョロそうだな”って如月くんの顔に書いてあったから。


たぶん私が絶世の美女だったら、違う態度で接してきたんだろうなと考えると余計に悔しい。



「声をかけたら、泣きそうになりながら俺を頼ってくれて、守りたいって思った」



結果的に煌くんがそう思ってくれたから水に流すけど。


そっか、煌くんは守りたいって思ったんだ。



煌くんが私に抱く感情。それが好意じゃなくて庇護欲でも、煌くんのそばにいられるならなんでもいい。



「こんなに離したくないって思ったの、ゆづが初めてだから」



煌くんは立ち止まると、顔をしかめて言葉にしてくれた。


あ、その顔をするってことは緊張してるんだ。


かわいいな煌くん、たまに不器用なところが愛しくてたまらない。



「煌くんが望むなら、私はずっと隣にいるよ」



愛おしい。あふれ出た感情を言葉にして伝える。


すると煌くんは私に手首を掴んでたぐり寄せ、腕の中に私を収めた。