カレシが嫉妬を覚えたら

「慧、お前いい加減にしろよ」



初めて目の当たりにした直情的な怒りに私は立ち尽くすしかなくて動けなかった。


その一方で、如月くんは抵抗せず冷静だった。



「ゆづには手出すなよ」

「今さらすぎだろ。これまでは何しても彼女のこと放置だったくせに」



それどころかこの状況で笑っている。


煌くんのことだろうから殴ることはしないはずだけど、この場面を先生たちに見られたら大惨事だ。



「こ、煌くん落ち着いて」



震えた声で仲裁をかけると、煌くんはハッと我に返って如月くんの胸倉から手を離した。



「珍しいね、まだ飽きないんだ。全然分からねえんだけど、何がそんなにいいの?」



如月くんは胸倉を掴まれて牽制されてもなお、私と煌くんの関係性について言及する。



「ゆづに何言ったんだよ」

「お前がしてきたこと、柚月ちゃんに伝えただけ」

「……」

「なんか興ざめしたわ。俺もう帰る」



曖昧な態度で煌くんの怒りの矛先をのらりくらりとかわしつつ、本当のことを伝えた如月くん。


すると煌くんは勢いを失い、その隙に如月くんは後ろ手に手を振って私たちの前から姿を消した。