カレシが嫉妬を覚えたら

「勝った、勝ったよ光!」



嬉しさが重なって、興奮気味に隣にいた光に話しかける。


光は勝利に喜ぶ私たちと違って冷静で、じっとコートの隅を見て唇を噛んでいた。


目線の先には、泣き崩れる凱くんの姿が。


いつも笑顔の凱くんの涙に、胸を締め付けられた。


凱くんは工業高校の3年生だ。進学高と違って、これから就活を控えている。


ひょっとして本当に、これが人生で最後のハンドボールの試合だったのかもしれない。



「あーあ、泣きべそかいて子どもみたい」



光は笑ったけど、目を細めると涙があふれて頬を伝った。



「頑張ったね、兄貴」



独り言のように呟く光は、瞳を潤ませて微笑んだ。



「光……凱くんのそばにいてあげなくて大丈夫?」

「見守ってるくらいがちょうどいいよ。たぶん、私がいたら兄貴泣けなかったから」



周りが勝利に勝利の余韻に浸る中、光は優しい笑みを携えて、遠くからお兄ちゃんの勇姿を見守っていた。