「じゃあなんで、怖い顔するの。てっきり来ないで欲しいって言われるかと思った」

「たぶん……試合来てって誘うの緊張して顔に力が入った」



しかも、顔をしかめた理由がかわいすぎる。


私は脱力してその場にしゃがみこんだ。



「なにそれ……かわいい」

「なでただけで耳まで真っ赤にするゆづの方がかわいい」

「誰ですかあなた……」

「ゆづの彼氏」



同じようにしゃがんで、目線を合わせる煌くん。


優しい声に反応して顔を合わせると、いつもの冷え切った無表情から想像できないほどあたたかい笑みの煌くんがそこにいた。


学校のみんなも、きっと知らない煌くんの笑顔。


こんなに優しく微笑むことができる人なんだ。



私だけに見せてくれた特別な表情を見て、私は煌くんの彼女だと胸を張っていいんだって、ようやく自分を認めることができた。