１週間後の金曜日、テストが終わった後に煌くんは私に会いに来てくれた。


最近、頻繁に会いに来てくれる煌くん。クラスの人は教室に煌くんが顔をのぞかせると「委員長、煌来てるよ」と声をかけてくれるようになった。



「煌くん、どうだった？」

「たぶん、なんとかなった。ありがとう」



不安だった科目を乗り越えられることができたらしい。


たったそれだけの報告のために会いに来てくれるなんて、煌くんは人が変わったみたい。


前は明らかに避けられていたのに。



「よかった、これで試合に集中できるね」

「あのさ、そのことなんだけど」



この普遍的で穏やかな幸せが壊れたらどうしよう。


そんな恐怖心から、“試合”というフレーズにハッとして、被せ気味に声を発した煌くんの異変に私は硬直した。