「ち、違うよ!」

「だとしたら遠慮しすぎ」

「あの、じゃあ言うけど……近いから、離れてほしい……」



突然の接近に顔が熱くなって、私は手で顔を隠しながらお願いした。



「なんで?」

「煌くんとしたいこといっぱいあるけど、まずは煌くんに耐性をつけることから始めさせてください」



耳まで熱いから、首から上がゆでたタコみたいに赤くなってるはず。


それに心臓の音、絶対煌くんに聞こえてる。


どうしよう、引かれないかな、大丈夫かな。



「……かわいい」



不安になって顔を上げられずにいると、信じられないフレーズが煌くんの口から発せられた。


かわいい……?嘘だ、煌くんは女子にそういう事言う人じゃないのに。


でも、絶対聞き間違いじゃない。


その後どうにかして調子を整えて煌くんと途中まで帰ったけど、かわいいと言われたことが嬉しくて、その日は寝るまでうわの空だった。


まずい。煌くんに夢中にならないなんて目標、無理かも。