ステージに飾られていた花を回収して台車に乗せ、プランターごと各クラスに置いていく。


最上階のクラスまで配り終えて、一階に台車を置きっぱなしだと気がつき階段を降りようとした。


すると、部活動紹介のために体育館に残っているはずの煌くんが、階段を一段飛ばしで軽快に登ってきている最中だった。



「煌くん!?」



思わず大声を上げると、煌くんは私の手を掴んでさらに上に駆け上がる。


この先は屋上だ。煌くん、そんなに焦っていったいどこにいくつもり?



「ねえ、煌くんどうしたの?」



屋上へと続く階段の踊り場で止まった煌くんは、流し目で私を見つつ、顔の前で人差し指を立てて「シー」と息を吐きだす。


なにその色っぽい仕草、私じゃなかったら卒倒してたよ。