アップルパイを食べて小腹が満たされて幸せなはず。


でも煌くんは、キッチンでお皿を洗う私を後ろからハグしたまま動かない。



「煌くんはかっこいいからね。私は選ばれると思ってたよ」

「ゆづにだけかっこいいと思ってもらえれば俺はそれでいい」



最近の煌くんは私の前では感情豊かになって、学校にいる時とまるで別人みたい。


甘えたな煌くんもかわいい。私も私で、煌くんの好き度が加速してもはや何をしてもかわいいと思ってしまう。



「うーんと、ミスターコンでもカッコイイところ見せて欲しいな」



だからって私から束縛に走ることはなく、むしろ十分煌くんを独り占めさせてもらってるからミスターコンに出場してほしい。


努力と実力の世界で生きてきた煌くんにとって、容姿で勝負事なんて嫌なのは分かってる。


でも、せっかくの機会だもん。思い出作りに楽しんでほしい。