文化祭は10月の始め。準備や企画に大忙しで走り回り、気が付けば文化祭まで二週間を切っていた。


各クラスの出し物はもちろんのこと、その他の企画の大詰めだ。


その中でも、準備段階からひと際盛り上がりを見せているのがミスコン・ミスターコン。


ミスターコンの枠は各学年4つ。


立候補制ではなく、全ての出場者が他薦で選ばれる。


学年ごとの投票を集計したところ、ぶっちぎりで煌くんの票が一番多く集まったと生徒会の子に聞いた。



「無理やりミスターコン出場させられた……」



しかし煌くんは乗り気ではないらしく、ふたりきりになった時にぽつりと呟いた。


今日は煌くんの家にお邪魔している。


なんでも、煌くんのお母さんが手作りのアップルパイを焼いてくれたらしく、消費しきれないから煌と一緒に食べて欲しいと言われた。


やっぱり今日もお仕事で煌くんのお母さんとは会えなかったけど、このところ親子関係は良好みたい。


煌くんにとって悩みはひとつ減ったはず。


しかし、新たな悩みが発生してしまったようだ。