「ゆづ……3年のクラスに1人で行ったって」
煌くんが青白い顔で教室にやってきたのは昼休みのこと。
話を聞くと、どうも先輩たちに「朝、彼女が教室に来たよ」と報告を受けたらしい。
それで驚いて飛んできたみたい。
「何も言われなかった?」
「大丈夫だったよ。自分で解決しなきゃいけないと思ったから」
「強くなったな……」
煌くんはしみじみと呟いてどこかさみしそう。
まるで親離れした子どもを見てさみしがってるみたいに。
「強くなったわけじゃない。何かあった時に、煌くんに頼っていいんだって思えたから気が軽くなっただけ」
でも、私はまだまだ未熟だ。これからもたくさん経験して、時には涙を流すこともあるだろう。
その時、隣にいてくれるのは煌くんがいい。
逆も然り、煌くんがつらい時は私が支えたい。
「煌くんもそうでしょ?私はお互いに寄り添える関係でいたいと思うんだ」
笑いかけると、煌くんはゆっくり頷いて、柔和な微笑みで応えてくれた。