「昨日のメイドカフェの件なんですが、あの時は伝えられなかったのでこの場を借りてお伝えさせていただきたいと思います」



持っていた資料を見せ、先輩に近づく。


昨日はあんなに怖かったのに、今はそうは思わない。


だって小林先輩は、“優しくて才色兼備”の仮面をかぶっているから。


どんなに私のことが嫌いでも、クラスメイトの前ではその演技をしなくちゃいけない。


だからあえて注目される場面を作った。これで無視なんて露骨なことできないはず。



「私たちのクラスは、隣のクラスと合同でコスプレカフェを出すことにしました。この件は先生にご相談して、許可をもらっています」



私は昨日言えなかったことをつらつらと彼女の前で伝える。


先輩は笑っていたけど、不自然なほどひきつっていた。



「ですので、先輩方は当初のメイドカフェの案で大丈夫です。これ、お渡しできなかった企画案のプリントです、よろしくお願いします!」



これまで、泣き寝入りばかりで我慢するしか方法を見いだせなかった。


だからこそ、ここで変わらなきゃ。自分で解決しなきゃだめなんだ。