カレシが嫉妬を覚えたら

「煌くん?」

「……もっとしっかり見ておけばよかった」

「何が?」

「こっちの話」



はぐらかされて気になったけど、こっちを向いた煌くんが優しく微笑んでいて驚いた。


誰だっけ、煌くんは女子の前では無表情だって言ってた人。


今、目の前にいる煌くんは、柔らかい眼差しで私を見つめて笑っている。


それが私だけに向けられているのだと知って、胸が痛いほどの幸福感に満たされた。


この時間がずっと続いて欲しい。


もしかしたら明日には、こんな幸せなひとときが嘘だったみたいに、冷たい対応をされるかもしれないから。


怖いけど、だったら話せるうちにたくさん話さなきゃ。


付き合って1か月、ようやく並んで歩けるようになった私たちは、時間の許す限りおしゃべりしながら家路をたどった。