「それで、煌の笑顔の先に柚月ちゃんがいてびっくりしたの。これまでの煌の彼女の系統と全然違うから」



でも煌くんが私のことを気に入ってくれても、お母さんがそうとは限らない。


これまでの彼女と違うと明言され、いじめの標的にされた経験からマイナスにしか捉えられなくて貶されるんじゃないかと思わず身構えた。



「素朴でめっちゃくちゃいい子そうなんだもん。“やっといい子捕まえたか~”っておばちゃん胸をなでおろしたよ」



しかし、続く言葉の成分は感心と驚きで成り立っていて心から安堵した。


煌くんのお母さんは、私と見て人がよさそうと判断してくれたみたいだ。



「煌ってば、どっかの誰かさんに似て女癖悪いと思っての。
連れてくる彼女、顔はいいけどみーんな挨拶しないし、なんならあのおばさん誰?って言った子もいて……あの時は煌と喧嘩してばっかりだったな」



お母さんは眉間にしわを寄せると、煌くんのこれまでの女遍歴を思い出して苦い顔をする。


どっかの誰かさんって、不倫して家を出た煌くんのお父さんのことかな。