煌くんが嘘を言わない人だって分かってる。


だから同じ気持ちなのかなと思うと嬉しくて、それだけで満たされたような心地になった。


煌くんは私の家の前まで送ってくれて、でもさよならするのが嫌で、名残惜しくて自分からそっと抱きついてみた。



「煌くん、好きだよ。また明日ね」



暗がりの住宅街とは言え、誰か来たら恥ずかしい。すぐに煌くんを解放して家に入ろうとすると、不意に腕を引かれた。



「待って」



どこか切なさの漂う声に振り返ったその時、信じられないことが起きた。


煌くんの端正な顔が至近距離にあったかと思うと、知らない感触が唇が触れた。



「俺も好き、また明日」



一呼吸置いた後、放たれたその言葉。


キスされたと気がついたのは、煌くんの微笑みを目の当たりにした後だった。


私は何が起こったのかしばらく理解できず、普通に煌くんを見送って家の中に入った。


しかし時間差で発火しそうな勢いで顔がボッと赤くなり、両親には体調不良を心配された。


本当の理由なんて言えるわけがなく、私は外が暑かっただけと言って乗り切った。