カレシが嫉妬を覚えたら

煌くん、顔の圧がすごいよ。

幸か不幸か、映画そっちのけで私を注視する煌くんのおかげで最後はあまり泣かずにすんだ。



「あんまり、見ないで」



スタッフロールが終わっても煌くんは私の顔を見ていたからさすがに注意した。



「いいよ、ゆづの泣き顔好き」

「……変態だ」



すると斜め上の回答が返ってきたから反射的に口走ってしまった。


煌くんってあれかな、人の泣き顔が性癖の……なんだっけ、なんとかフィリア……うーん、思い出せないや。



「へえ、そういうこと言うんだ」

「あ、う……メイク直してくる!」



煌くんは私の変態発言に悪い顔で笑って反応する。


変態って言われてなんで逆に気を良くしてるの!?


私は混乱して、思わず煌くんを置いてトイレに走った。



「煌くんがどんどん分からなくなる……」



誰もいないトイレの鏡の前でぼそっと呟いた。


煌くんってあんなに艶のある色っぽい表情を頻発させる人だった?


それにふたりきりの煌くんは二重人格を疑うほど甘すぎてどうにかなりそうだし。


でも、顔を上げた私の顔は赤くなっていてまんざらでもないみたいだった。