カレシが嫉妬を覚えたら

嘘、そんなはずない。


でも声のした方を見ると、煌くんがこっちに足を向けてゆっくり歩いてきていた。


てっきりさみしさが限界を超えて、幻聴が聞こえたのかと思った。



「どうする?帰る?」

「い、いっしょに帰る!」



如月くんのと私の間に割って入って、至近距離で首を傾げる。


気だるげなのに色っぽくて、魅力に惑わされた。


その影響で噛み噛みだったけど、煌くんは気にせず頷いた。



「分かった、ちょっと待ってて」



そういうと煌くんは部室の鍵を開けて中に入っていく。


……夢、じゃないよね。


だって初めてだから。煌くんが一緒に帰ろうって誘ってくれたのは。


それに今までずっと佐野って呼んでたのに、初めて“ゆづ”って言ってくれた。


どうしたの煌くん、どういうこと?


でも、気まぐれでもなんでもいい。


嬉しくて心臓がはち切れそうだ。