カレシが嫉妬を覚えたら

「おい、足引っかけたろ、見てたからな」



怒りを孕んだ男の低い声。


顔を上げると、リレーの練習をしていたはずの煌くんが、恐ろしい剣幕で3人組に詰め寄っていた。


煌くんが怒ってるところ、初めて見た。


普段物静かな人が怒るとその落差によって恐ろしさは倍増する。


私に向けられた怒りじゃないのに、きゅっと胃が縮こまったような気がした。



「笑いながらゆづに足引っかけたよな」

「……」

「なんとか言えよ」



淡々とした口調だけど、煌くんの声はよく通る。


すると周囲の人は騒然として、3人は顔を合わせ、ひきつった顔で笑い出す。



「……え?そんなことするわけないじゃん、遊馬くん言いがかりやめてくれない?」

「は?とぼけんな」



真ん中の子が煌くんに笑いかけたけど、冷たく突き返されてびくっと肩をすくめた。