「お泊り……まだ、できない。覚悟、決めてからじゃないと」



動揺のあまりカタコトで一生懸命伝えると、その様子が面白かったのか、不安そうだった煌くんの顔が次第にほころんでいく。



「じゃあ、いつならいい?」

「え?うーんと……」



今日のお泊りは諦めてくれたけど、煌くんはもう次の機会を狙っている。


どうしよう、なんて言ったら諦めてくれるかな。



「困らせてごめん。その顔がかわいくて」



うなりながら考えていると、煌くんの手が私の頬に触れた。


両手で包み込むように優しく触れて、少し持ち上げるようにして私の顔を観察する。


困り顔がかわいいなんて初めて言われた。やっぱり煌くんって変わってるのかも。



「泊まるのがだめなら、寝落ちするまで電話して」

「それなら、いいよ。また夜に連絡するね」



ほら、寝落ち通話とか絶対しなさそうなタイプなのに自分から提案してきた。


煌くんはしばらく私の頬をふにふにと触れて、それから「待ってる」とはにかんだ。