お父様は、この国の王。

お母様は、その王妃。




欲しいものは、何だって買ってもらえたし




たくさんの人に愛されて、私は育ってきたと思う。





ただ、いつもどこか寂しい気持ちがする。





満足しているはずなのに





私の心は何かを不満に思ってる。






「深春様。ご立派になられて……。」




「そんな……ありがとうございます。香保子様もいつまでも美しいですわ。」





「あらあら、お世辞がお上手になったのね。」





他愛もない話を貴族の方々と話す。




時々、結婚話を持ち掛けられたりもする。




非常に疲れるこの挨拶回り。




一息つこうと私は王宮へ戻った。