「よろしくね。深春って呼んでね。千春って呼んでもいい?」 「もちろんだよ!」 私の言葉に千春は笑顔で答えてくれた。 高崎千春。 それが私の妹の名前だったのだ。 黒い真っ直ぐな髪。 お母様とよく似た顔立ち。 その時、私は重大なミスをおかしていた。 そのミスに千春が気付いてしまえば、おしまいだ。 幸い、千春は気付いていない。 このまま、気付かないで欲しい。 私が、自己紹介もされていないのに千春の名前を知っていたことを……。