いつもどおりだった。



その瞬間まで、私は知らなかった。




その、真実を───…。




もしかしたら、これから先、ずっと知ることはなかったかもしれない。








それは私が14歳の誕生日を、迎えた日のことだった。




「深春様、ご用意が出来ました。」




「ご苦労様。下がっていいわよ。」





私の名前は桃井深春。


一応この国の姫。




地位とか私にはどうでもいいことなのだけれど。




立場とか気にならないし財産だって欲しくない。



ただ毎日がなんとなく過ぎ去っていたある日のこと。



変わらない平凡な毎日に違う日が訪れたのだった。