無視だ。

知らん。


俺は早くこの雑用を終わらせる。


視界に、2人のシルエットが見えた。

が、そちらを見ることなく淡々と雑用を続ける。


「……弓木灯織」


運悪く俺を知ってるやつ。


しかもその声は、俺も知ってる。


仕方なくそちらを見る。


スカートで、なんも見えねえけど。

まあ、そういう事だろうな。


「何」


また雑用を進める。


「空気読んで出てくとか、ねえの」


「その言葉、そのまんま返すけど」


「そ」


それだけ返して、行為を再開する柿谷。


俺が雑用を終わるのと同時に、終わったらしく、ベルトを締めながら俺の方へ歩いてくる。


気まずいとか、そういう思考回路バグってんのな。

まあ、俺もそうか。

こいつの下のために遠慮とかワケわかんねえ。一般的に後ろめたいと感じる側はこいつだし。


女はパタパタと走って先に出ていく。


「いい趣味してんな」


「自意識過剰だな」


教材、そこそこ重いな。


トンッ


肩を押されて、壁に背をつける。

…あー、最近こういうの多いな。


「お前って軽いよな」


きも、触んな。


「なあ、あいつとキスしたんだろ」


なんだこれ。

少女漫画のヒロインかなんかか俺は。

挟むな。

いや、挟んでいいけど、そういう挟み方は違う。