ハル。
使わせてもらうよ。
「ねえ、大丈夫なの?」
犀川が俺を見る。
何が?とはとぼけない。
「大丈夫」
「本当?よりにもよって、なんで柿谷慎矢なんか」
犀川は綺麗でサバサバしてる女だけど、貞操観念は俺と似てる。
「なんか、気になることでもあるのか」
流石、七種。
「昔の俺に似てる」
「え"」
皆、すげえ間抜けな顔をする。
「それを、環が今の俺に変えた」
「ええ!?あんな優しそうな人が?」
「いや、環はずっと優しいけど」
そう。
ずっとだ。
「暴れまくって、物壊すわ、暴力振るうわ。そんな奴に、あいつはずっと話しかけてきた。逆に怖えよな」
はは、と笑って紙パックのジュースを飲む。
「今じゃ、あいつに言葉で勝てたことねえし。環が俺の教科書みたいな」
そう。
教科書。聖書。
それぐらい、色んな言葉をくれた。
「大好きなんだね、神尾さんのこと」
与坂が優しく笑う。
「そりゃあな。俺を、少しはまともな人間にしてくれた人だからな」
「……灯織は、柿谷慎矢を変えたい、ってことか…?」
幸大が真剣に聞く。
「まあ、そんな大層なことしようとは思ってない。それに、あいつは昔の俺に比べたらまだ救いようのある奴だと思う」
「お前どんだけ荒れてたんだよ……」

