「気にしないで」
「それ、わざと言ってる?」
「ごめん」
なんか最近こういうの多いな。
まさか、環まで。
「俺の環への気持ち、ここで全部話した方がいい?」
今の環へ、それを話すのはただ傷付けるだけ。
でも、環は分かってる。
俺の気持ちは全部分かってるのに。
「環、知ってるだろ。俺は人に恋するって気持ちが分かんねえ。」
切なそうに俯く環。
「俺、学校で告白結構されるんだ。そんとき、変に優しくしちゃいけねえって知った。断る時はどうせ傷付けるから、すっぱり断る。」
ビクッと環の手が震える。
「環の今の感情を、見て見ぬふりはしない。俺は環を失いたくないから、余計に。俺が環を傷付ける存在になりたくない。」
正論も、本音も、全部。
環だから、話す。
照れも隠れもしない。
「環は、俺の事、どう思ってる」
こんなこと、聞く日が来るとは思わなかった。
「ああ、その前に、どっか座るか。」
立ち話もしんどいだろうし。
大人しく俺に着いてくる環。
ああ、俺もしんどいな。
ベンチに座る。
「灯織」
先に話し始めたのは環。
「僕は、灯織が好きだよ。女の子として」
環は落ち着いた声でそう呟いた。
心拍数、大丈夫かな。

