腕を組んで仁王立ちで言うことじゃないだろ。
「ダメだよ丞さん。丞さんにはうちの灯織はあげらんないからね」
「え〜ダメ〜?とかいって。」
ふざけて見せる丞さん。
「丞さん」
ん?と俺を見る。
「今日、ありがとうございました」
頭を下げる。
ここは、平日でも空きのない人気店だ。
にも関わらず、環の予約は無理やり空けてくれる。
「いーえ。いつでも遠慮せず連絡してきていいからな」
女関係以外は、いい人なんだよな。
「おう」
「デートの誘いでもいいぞ」
「枯れとけオッサン」
「うわ、オッサンて!酷い!確かにアラサーだけど!」
笑いながら店を後にする。
「環、体調大丈夫か」
「うん、座っていただけだし、平気だよ」
「そう。今日20時までだよな」
俺の問いに頷く環。
今日の外出許可時間は、16時から20時。
今は17:40。
「夕飯、食べてく?」
「うん、食べたい」
「じゃー、耀介も誘うか」
「いいね」
耀介に連絡をし、環が好きな店で落ち合うことになった。
「耀介が来んのそこそこ時間かかるし、ゆっくり向かおう。歩くのしんどくなりそうだったらすぐ言えよ。」

