そっかー、と何やら考えている和さん。


「恋人とかいないの?」


和さんと丞さんは俺が女であることを知っている。


「いないっすよ」


「この先は?」


「考えたことない」


それを話して何になるんだろう。


「そう」


何か含んだように返事をして、和さんは持ち場に戻っていく。


「何が言いたかったんだ?和さん」


それは、俺にもよく分からない。


ただ、環が少しだけ寂しそうに微笑んでいたのが気になった。


髪は切り終わり、染めるか否か丞さんが聞いたけど、環は染めないと断った。



「環も染めないのか〜。灯織も染めないって言うし」


何やら不満げな丞さんは、環の髪を軽くセットをする。

環は頻繁には店に来れないから、結構短くする。

伸びても違和感がない髪型で。


「よし、一応完成だけど、どう?」


かっこいいな。

長いのも似合ってたけど、短いと爽やかさと男らしさが増す。

どちらかと言うと中性的な顔立ちだから、長いと綺麗な感じになるんだよな。


「ひお、どう?」


嬉しそうにこちらを見て笑う環。


「似合ってる。かっこいい」


その表情がたまらなく愛おしくて、思わず笑ってしまう。