「丞さんはどーなの。」


「え?俺?んー、どこまで知ってんだっけ」


「銀座のクラブのリナ」


「……そんな子いたっけ」


このセリフをガチめな顔で言うような男だ。


「わっかんねー、なんか、リナって名前の女の子本当に多いよね。困っちゃうよな〜」



こいつは所謂、女に対してクズ野郎。

耀介も、丞さんの女関係についてはボロカスに言う。



「いつか刺されるよ」


「皆それ言うね〜。でも別に、俺付き合おうとか結婚しようとか一言も言ったことないしさ?詐欺みたいに言われる筋合いないんだよね」



ブラック丞。


「セックスしたいから声掛けてるわけで、あっちもそれに応えてくるわけで。そこで利害一致してんのに、それ以上を求めてくる方が詐欺じゃね?」


「丞ー、お前のその話聞いてるふたり、高校生だろ。教育に悪い」


その美容室のオーナー、篠原和(しのはらかず)さんがレジの方から会話に入ってくる。


「あはは、大丈夫ですよ。それぞれの価値観の問題ですし」


環が笑う。


「まあ、26にもなって身を落ち着ける気がサラサラないのもどうかと思うけどな」


「わあ、一回り年下にすごいこと言われちゃった」


「悪気はない。」