「なあ、環」



「うん?」



「環もまだ17歳なんだから、自分のこともっと考えていいんだよ。環のワガママは、俺からしたらワガママに入んねえから。俺と一歳しか変わんねえのに、頑張りすぎ」



「……うん」


頼りなく笑う環。


「俺ばっかり環に頼んのは気が引ける」


環のことも、耀介のことも。

俺にはもう誰かの助けが必要なことはもうない。


でも二人は違う。

俺が二人に救って貰った分、今返さなきゃ行けない。



「お!来たな〜イケメン二人!」


「丞さん久しぶり」


美容室に着くや否や、担当をして貰ってる真壁丞(まかべたすく)さんが出迎えてくれる。

テンションはそこそこ高め。

耀介の高校時代の友達で、俺らの事情も知っている人。

高校入学前、俺の髪を切ってもらった。

環はいつもここ。


「丞さん、なんか痩せた?」


「さすが環。最近ダイエットと筋トレ始めてさ!」


「えー?丞さん、元々太ってないじゃん」


こう会話を聞いていると、そこそこテンション感似てるんだなって思う。


環が髪を切ってもらっている間、俺は雑誌を見ながら時間を潰す。


「灯織はー?学校、順調?」


「まあ」


「はは、変わらずドライだね〜」