……もうそろそろいいか。

いいだろ、もう。



「おい、気ぃ済んだか」


環のシャツを引っ張れば、うーん、と悩む環。


「予約の時間、遅れる」


「……うんそうだね。もっと皆と話していたいけど、ひおは照れ屋さんだからね」


クスクス笑う環。


「環」


俺が環に怒れないことを知っていて、面白がっている。


「うわぁ、灯織が勝てない人なんて居るんだな」


「照れ屋さんなのかぁ!灯織!」


「ぶちのめすぞ、調子乗んな」


幸大を睨めば、はあ!?とキレる。


「環、早く行こう」


「うん、分かったから。じゃあ、幸大くん礼くん、あと他のみんなも。時間取らせてごめんね?またね」



やっと引き剥がし、門を出る。


「皆いい子そうで安心した」


「んな過保護じゃねえだろ環」


「……バレた?」


確かに、心配はしてくれている。

けど、あそこまでする必要もない。


「ちょっと、大人気ないことしたなぁ」


環は、これでも俺と一歳しか変わらない。


「僕の方がひおのこと大事にしてるって、マウント取りたかっただけなんだよね」


「知ってる」


「僕を安心させようと必死だったなぁ、あの子たち。本当にいい子だね。ひおのこと相当好きだね。まあ、僕の方が」


「分かったって。」


クスクス笑う環。