「二人なら分かると思うけど、僕はね、灯織とは、耀介と同じような関係なんだ。ただ、僕は昔から体が弱くてね。入退院を繰り返してて、今日は特別に外出が許可されて、これから灯織と美容室に行くの」
幸大と七種。
この二人には、俺が孤児院出であることを伝えてある。
後々、親のことで気まずくなられても困るから。
「そう、だったんですか」
耀介が孤児院で俺の世話をしていたことも知ってるから、すぐに環との関係を飲み込む二人。
「うん。何か、勘違いさせてしまったようだけど、久々の外出だから、僕も灯織もテンション上がっちゃってさ」
ね?ひお。
と振り向いて俺に聞いてくる環は、とても楽しそうで。
「さあ」
そう答えれば、クスクスと笑う環。
「あんな、素直じゃなくてツンケンしてる子だけど、これからも仲良くしてあげて欲しい。よろしくお願いします」
そう言って二人に頭を下げる環。
その光景に慌てる二人。
「そ、そんな!あいつは、まあ、素直じゃないし、可愛くはねえっすけど、良い奴なのは分かってるんで」
珍しく、幸大が真剣に話す。
良かった、でかい声出さなくて。
「俺ら以外にも、こいつらとか。この学校には沢山、弓木のこと好きなやつは居ます」
「ふふ、そっか。なら良かった。中学までは、どうしても理解してもらえないことが多くて心配だったんだ」

