同じ部屋。
つまり、俺は女であることをしっかり隠さなきゃいけない状況下にあって、そこにプラス対象者とかなりの近距離にあるっていう、最悪なパターンだ。
「俺は別にいいけど、部屋であんまうるさくするとぶん殴られるかもな?幸大」
そう鼻で笑ってやれば顔を青くする幸大。
「はっ、そんな短気なやつじゃねえとは思うが、お前うるさくすんなよ」
「わ、分かった……でも、枕投げはしよう」
「本当、井筒の脳みそはバグでしかないな」
呆れている七種。
「は!?なんでだよ。泊まりと言えばそれだろ」
「ぶん殴られるだけじゃ済まねえかもな」
勉強合宿の話で今日の授業は最後。
授業が終わるや否や、幸大が駆け寄ってくる。
「なあ!今日カラオケ行こうぜ」
「え!あたしも行きたい〜」
犀川や与坂を始め、他の女子も反応する。
そうなれば、男子も集まってくる。
「うお〜じゃあでかい部屋予約しねえとな!」
テンション上がってるとこ悪いが、
「俺用あるからパス」
カバンを持ち、立ち上がれば
「は!?今日バイト休みの日だろ?だから誘ったのに」
眉を八の字にする幸大。
こればっかりは悪いな。
「次のバイト休みの日は空けとく。じゃな」
幸大の頭をポンッと撫でて、周りにも手を振る。

