「あいつ、確実にボッチなのに誰にも声掛けねえな」


「ボッチって言葉、似合わないな。孤高って感じか」



やっぱりな。

皇に声かけられるやつなんて居ねえよな。


「な、なあ、皇」


勇者だな、幸大。


ゆっくり、幸大に目線を上げる皇。


「お前、俺らのグループ入る?」


「え」


緊張感が漂う。

皇は黙っているか、柿谷と揉めているか、女子が一方的に声をかけているか、その3場面しか見たことがない。


だから、こんな場面は珍しいの域を超えてる。


「ほ、ほら、俺らのグループと言えば、灯織がいるし、お前、灯織気になってんだろ?」


少し誤解を招く言い回しだな。


「皇、4人で上手く割れるから俺らのとこでって話。どうせ、どこでもいいんだろ?」


仕方なく、俺がそう話せば、皇が俺を見て


「ああ」


そう返した。


「幸大、ハウス」


弾かれたように俺の席に走って戻ってくる幸大。


「何、お前、俺と皇を仲良くさせたいわけ?」


「うーん、なんと言うか、灯織を気になってるってことは、悪いやつじゃない気もして」



幸大も、あいつを気になってる。

そういうことね。


言っとくが、これはなんも喜ばしいことじゃない。