こんな犀川は初めて見るかも。



「君は、本当に灯織のこと好きになってくれたんだね。今の姿見て分かったよ。ありがとうね」


ポンポンと犀川の頭を撫でる。


「え、あ、あの、相見先生、って…?」


「灯織の恋人だよ」


どんだけ犀川を翻弄すれば満足するんだこいつ。


「耀介、いい加減にしろ」


犀川は、固まっている。


「犀川、嘘だからな。信じんなよ。ガキの頃から知り合いなだけ」


「知り合いって、寂しい言い方するね灯織。家族みたいなものなんだ。」



無理やり俺の頭を撫でくりまわす耀介。


「灯織、もう5限始まってるけどいいの?」


「えっ!?もう!?」


犀川が、驚いて時計を探す。


「お前は戻れば。」


「…っ、もしかして、灯織、分かってて居てくれたの?」


「5限進路関係の話だろ。ダルいから俺はパス」



「何言ってるの。灯織も戻んなさい」


カラカラと窓を開けながらそういう耀介。


「俺は戻んねえから、犀川行っていいぞ」


「こら」


立ち上がり、ベッドの方へ向かえば耀介に腕を掴まれる。


「依怙贔屓はできません」


「どうせ進学なんかしねえし」


「あのねえ、灯織」


「俺には必要ねえ」