さあ、知らねえが。

あいつらの前で素直になるのは気恥しい。


「そっか、だから、教室じゃダメだったのね」


「特に幸大とかタチ悪いからな」


「あはは、そうかも。ずーっとからかってきそう」


「だろ」


もう、泣いてねえな。


「それ、貸せ」


氷嚢を受け取れば、結構溶けてる。

新しいものに替えて犀川に渡す。


「いいの?そんなに勝手に…」


「あれ、灯織?……と」


タイミング良く耀介が戻ってくる。


「耀介、氷嚢借りた。今、新しいのに替えたばっか」


「す、すみません、勝手に」


犀川が頭を下げる。


「あー全然。灯織はいつも勝手だから。それより、灯織に泣かされたの?」


「あ、えっと…」


おろおろと俺に助けの目線を送る犀川。


「俺が泣かしたようなもん。」


「そう。頭出しな、灯織」


素直に頭を差し出せば、


「ちが!えっと!あたしが告白して、振られて勝手に泣いただけで!!!」


そう叫ぶ犀川。


その姿に、耀介は吹き出す。


「あはは、大丈夫だよ、殴ったりしないから」


「え、え?」


「こいつ、悪趣味なんだよ。お前が止めるか止めねえか見たかっただけ」


状況を読めずに、慌てる犀川。