「朝から様子おかしかったから、心配した。」


泣いてるから、優しくするんじゃない。


ただ、俺は


「告白、嬉しかった。ありがとう。」


ちゃんと、お礼が言いたかった。

氷嚢を自分で持って、俺を見上げる犀川。


「俺なんか好きになってんなよ、阿呆だな」


ありがとう。

犀川は、入学してからかなり長い時間、俺を見てる。

そんな中で好きになってくれたんだ。

こんな俺を。


ちゃんと答えてやんなきゃ、ダメだろ。


俺を見つめるその真っ直ぐな目から涙がまた溢れ出す。



「……ぅ、ふぅ、……うう」


ぼろぼろ泣き出す犀川をソファに誘導して、ティッシュを渡す。


ぽつり、ぽつりと俺を好きになった経緯を話す犀川。


聞いていて、こっちがかゆい話ばっかりだったが、こいつが早く前に進むためには話させた方がいいと思った。


「あたし、阿呆じゃないもん」


「は?」


「灯織はすっごく魅力的な人だもん。皆好きになるよ。」


「はいはい」


「なんで、振ってから、そんな優しくなるの……ずるい」


「優しくしてるつもりねえよ。ま、野郎が周りにいねえから素直ではあるかもな」


はっ、と鼻で笑って見せれば、


「そういうこと?」


「男なんてそんなもんだろ」