優しくすんな、ってか。
「じゃあ、お前も来い」
俺が先に教室を出て、少しあとを犀川が着いてくる。
「……同情、してるの?」
「は?お前、俺がそういう奴に見えてんの」
「見え、ないから、聞いてる」
「お前さ」
保健室に入り、耀介が居ないことを確認し、犀川の方を見る。
「教室で告白とか、馬鹿だろ」
傷付いた顔をする。
俯いて、
「も、ぉ、終わったことなんだから、いいじゃん」
ぽとり、と涙が落ちる。
「ホント、お前って俺のこと分かってねえな」
冷凍庫を開き、氷嚢を探す。
「……じゃん」
声が小さくて聞き取れなかった。
「あ?」
「場所なんて、どこでもいいじゃん」
答えが一緒なら。
まあ、それもそうだけど。
「答えは一緒だな。俺はお前の気持ちには答えらんねえんだし」
氷嚢にタオルを巻き、犀川に近づく。
「けど、名前しか知らねえ女より、友達のお前にはもっとちゃんと話したかったんだよ」
友達とか、そんなかゆいもん、言葉にさせるなよな。
犀川は驚いたように俺を見上げる。
視界を塞ぐように氷嚢を当ててやれば、
「冷たっ」
ビクッと肩を揺らす犀川。

