俺も教室に戻り、席に座る。


「なあ、なんだったんだ?」


幸大と七種が俺の所へ来る。


「さあ。」


「さあ、って。何か話したんじゃないのか?」


「いいや特に。俺も分かんねえんだよあいつ」


「皇って無口だし、無表情だし何考えてっか分かんねえよな。ただ、柿谷慎矢とワケありってことしか」


この幸大の言葉は、校内の大半の人間が思っている事だ。


「まあでも、あいつも灯織と友達になりてえとかなんじゃねえ?」


「うーん、否定もできないかもな。」


わっかんねえやつだな。


「灯織」


考えていれば、犀川がやってくる。

目、赤くなってんな。


「さっきごめん。ありがと」


この場合、俺はどうするべきなんだろうな。

分かんねえけど、とりあえず。


「謝ることじゃねえだろ。目、冷やさなきゃ腫れるぞ。ブスになんぞ」


立ち上がり、教室を出ようとする。


「弓木、どこ行くんだ」


「氷嚢取ってくる」


「えっ、もしかして、あたしの?」


驚いたように聞いてくる犀川。


「は?他に誰がいんの」


そう答えれば、目を見開く犀川。

それを無視してまた歩き出せば、



「い、いいよ!あたし、自分で取ってくるから…」