デリカシーねえ事言った上で触るなクソが。



「あ、ガチのやつ?じゃあ仕方ないか〜」



そう言って毛布を持ってきて俺に掛ける。


俺、弓木灯織は女だ。一応。


幼い頃から家庭環境は最悪で、とある事件から施設を転々とし、最終的に孤児院を経営している院長の息子、相見耀介に拾われた。


施設内でも問題行動の絶えない俺を、なぜだかこいつは迎えに来た。


俺は今、とある約束のために耀介に協力し、男としてこの翔凰学園に潜入している。



「薬飲む?」


「……いい、寝てりゃ治る」


「治るって。病気じゃないんだから。」


「気合いで何とかなる」


つか、話しかけんな。


「ふふ」


こいつはイカれてる。

今どこに笑う要素があったんだ。

意味分かんねえ。


笑っといて黙りやがる。

それなのに、離れていかねえ。



〜〜〜っ、ああ"もう、うぜえな。



「仕事しろ」


後ろを振り返り、そいつを睨む。


「……っ」


まただ。


時々こいつは、遠い目をして俺を見る。


嫌悪とか、可哀想って見られることはもう慣れた。

けど、この目は慣れない。



ああ、腹が立つ。