「どういうこと」
放課後になれば、後ろの席の与坂さんが声を掛けてくる。
俺がいない間に席替えしたらしいのに、この前後は変わらないらしい。
どうしたものか。
「これから暇?」
「暇だけど」
「犀川〜、今日暇?」
「ひ、暇だけど」
「幸大は暇だな?」
「おい!暇だけどな!?」
礼にはアイコンタクトを取る。
「んじゃ、俺んち来る?」
「「「行く」」」
3人とも即答。
礼は少し心配そうだけど。
「俺も行きたい」
いつの間にやらいる慎矢。
「はっ、柊吾でさえ来たことねえわ」
「尚更行く」
「お前は来んな」
皇がグイグイ来る。
とはいえ、様子を見ながら、だ。
これまでやってきた事を考えれば、まあそれが妥当か。
「慎矢と漸はどうせ近々また会う。それに、俺の家に簡単に招いていい間柄じゃねえ」
これは、仲が良い悪いの話じゃない。
「……漸、て」
皇には、そこから先が聞こえてないのかもしれない。
「慎矢は、下の名前なのに、お前だけ苗字っていうのもなって思っただけで深い意味は無いから近づくな」
という言葉も聞こえず、ガバッと抱き締められる。
「やだ」
こいつはホント、スイッチが入ると止められない。
「慎矢」
助けを求めるのはそいつだけ。
「漸」
慎矢が無理やり俺から漸を引き離してくれる。