「治安悪めも好き」
女子って。
「女子って男はちょっと悪いくらいがいいってよく言うけど、本当にそうなんだな」
隣で俺の言いたいことを言い当てるかのように呟く幸大。
でも、どこか嬉しそうで。
走り出して、ガッと首に腕をかける幸大。
「はよ!!灯織!!」
俺も少し走って逆サイドに立つ。
「……るさ」
幸大がいる側の耳を手で塞ぐ灯織。
「元気そうで安心した!!!」
「……お前もな」
首にかけられた腕をどうにか解かせて、冷静に呟く。
「髪、伸びたな」
「ん、伸ばしてる」
そう答えた声も目も、優しい。
ああ、帰ってきたのだと実感する。
心が震える。
「迷惑かけたな」
その言葉に、俺は足を止める。
俺の意思には反して、ポロポロと涙が目からこぼれていく。
それを見て、幸大も泣き出す。
「2人とも、待っててくれたんだな。」
そんな俺らを見て申し訳なさそうに笑う。
それに答えも出来ずに、泣く俺らを2人同時に抱きしめた灯織。
「ただいま」
情けなく流れる涙は止めることも出来ず。
今までどれだけ感情を殺していたか。
「も、う…大丈夫なのかよっ」
「大丈夫」
「無理、してねえか」
「してない」
「俺ら、友達で、いいんだよな」

