「分かった。けど、俺が他から見てどれだけ粗悪な道を歩んできたとしても、それが偉いわけでもなんでもない。だから、変に甘やかすのだけは勘弁してくれ。俺が甘えたい時だけ甘やかしてくれればそれでいい。」


俺を割れ物のように扱わないでくれ。


「それに、粗悪な環境を歩んできたってことは、かーなーり、悪いことばっかりしてきた。恨み買うことばっかりな。それは仕方ないことでも何でもねえから、そこも甘やかさないでくれ。俺は今日を機にちゃんと変わりたい」


根本が最悪だとしても、少しまともにはなれんだろ。

変われないと思ったのは、天馬の言う通り、傷付くことを恐れて逃げる理由を探していたのかもしれない。


「俺は財閥とか経営とか、金持ちのことは何もわかんねえ。金とかどうでもいい。ただ、家族がいねえ人間は腐るほど見てきた。だから、この繋がりがあるなら、例え嫌いな人間だとしてもその繋がりに沿わねえとあいつらに顔向けできねえからさ。」


自分に必要か不必要かじゃない。

家族ってもんは、皆が皆満足に作れるもんじゃない。


「今んとこ嫌な要素はほぼない。こんなやつで良ければ面倒見てよ」


口角を上げれば、クシャクシャと俺の頭を撫でる耀介。


じいちゃん、お父さん、天馬、耀介。

それがそれぞれに、俺の人生への贖罪の意識がある。

それはどうしたって、俺にとっては重くて。

けどそれを、俺は、愛だと思っていいんだろ。