俺に注がれる視線。


それは、良いもんなんかじゃない。


見てくれが良くとも、俺のバックグラウンドでしかまだ俺を判断できない人しかいない。

まあ、俺を知ったとて評価が良くなるとは思えないけどな。



「さっきの、俺は違うって何?」


少し弱々しく聞こえる耀介の声。

俺も見られているから、下手に素を出せない。


「そのまんまの意味。耀介が俺に話さないといけないことがあるのは薄々分かってる。それを話すことを躊躇ってるのも。」


静かに、出来るだけ口を大きく動かさないように。


「その話が俺にとって最低なことだったとしても、傷つくことだとしても」


視界に入る耀介の拳が強く握られる。


「耀介は他の人間とは違う」


「え…?」


耀介が俺を見る。

俺は真っ直ぐ正面だけを見据えて話す。


「俺の中で、環と耀介は特別だから。何があっても嫌わないし、許す。それとも、俺が耀介に何かしたか」


ゆるりと耀介の目を見れば、眉を八の字にして首を振る。


「ならいい。俺が耀介を傷つけていないなら、それでいい。」


「灯織」


「言っとくけど、自己犠牲とかじゃないからな。これまでも、俺はお前を家族だと思ってた。お前がこれからも家族になった。それだけのことなんだよ。俺の中で」