『天馬 : あと5分で着く』


そう連絡が来てから、少し経つ。


会食会場であるホテルのエントランスで待つ。


……灯織、復活してるといいけど。



「あれ、耀介。入らないの?」


鳳純菜(おおとりじゅんな)。

おばの鳳菜摘おばさんの長女。

確か、歳は19。

黒のタイトなミニドレスに、艶のあるハニーブラウンの髪が緩く巻いてある。


おばさんよりか、正人おじさんに似たのか、タレ目で甘めの顔。


鳳の人間はつり目がちな人が多い。

俺も灯織も、父さん似で猫目っぽい。

天馬は、母さんに似て、つり目だが切れ長な感じだ。



「天馬たちが来るから待ってるんだ」


「たち?…ああ、噂の妹ちゃん?」


今日は鳳の会食。

親戚の中でも近い人間が集まって会食する。

もちろん、統帥である祖父、鳳一京(おおとりいっけい)もだ。


「そう」


「そっかぁ。それは、お兄ちゃんたちは気が気じゃないよね」



……平気だとは、言えない。



「機嫌、直ってるといいんだけどな」



「…?喧嘩でもしたの?」



「うーん。機嫌を損ねる出来事が多くてなんとも言えないって感じかな」


首を傾げる純菜。


性格が誰に似ているかと言われれば、俺は父さんだし、兄貴は母さん。

だからか、そこまで仲が悪くはない。