「良かった。もしかしたら、菓子の好み似てるかもしんねえと思って。次来る時、お詫びにまたなんか持ってくるわ」



「え!そんな!……というか、次って」



「もう来ないとか、言わねえよ。これからはもっと世話になるかもしんねえしな。ヨロシクお願いします、葉賀さん」



ぶわっと目が潤む葉賀さん。



「あの、えと、あたし、葉賀結花(はがゆうか)って言います。改めてよろしくお願いします!!!」



そういや、下の名前、初めて聞いたな。


「結花、ね。近く、鳳灯織になります。ま、そんな変わんねえけど、結花には迷惑かけたから、俺の事灯織って呼んで欲しいかな。さん付けは申し訳ねえ」



「だから、ナンパやめなさいって」



「そりゃ、ナンパすんだろ」



「え?本当にナンパだったの?」



「ね、結花」



手を取って、その手にキスする。



「俺がいない時、丞さんが女に鼻の下伸ばしてたら教えて?」


そう言って笑う。


っ!と顔を赤くする結花は、自分の手を見てまた驚く。



「それ、俺の連絡先。監視役、頼んだ」


連絡先を書いた紙を結花の掌に滑らせ握らせた。


今は、こういう事にしか流石に使えねえけど。