「……居るよ、ずっと。


俺、嫌だって言われても、


灯織の隣に居るから」



顔が緩むのを制御出来ない。

なあ、しなくていいか?



「やった」



ふふ、と笑えば、ぎゅうっともっと丞さんの腕の力が強まる。


くる、し。

ああ、こういう苦しみもあるのか。

すげえ、愛おしいな。



「……ふっ、うう」


その声は、俺のでも、丞さんのでもない。


「……?」


俺と丞さんは顔を見合わせて、その人の方を見る。


「…あ、ぁぁあっ、じゃ、まするつもりじゃ」


号泣してる、葉賀さん。



「丞さん、ごめん、メイク直してくれ」



「うん、了解」



すみません!と頭を下げる葉賀さん。



「葉賀さん」



手招きをして葉賀さんを呼ぶ。

俺の近くに来た葉賀さんの目元を親指で拭う。



「泣かせてばっかで、悪い。仕事中なのに、いっつも、葉賀さんには重い話聞かせちまって。好きなスイーツとか、あるか?」



「何、ナンパしてんの」


すかさず横入りしてくる丞さん。


「前に渡したチョコ、どーでした?」


無視して聞けば


「すっごく美味しかったですよ!あれって最近できたチョコレートの専門店のお菓子ですよね!?」


嬉しそうに話す葉賀さん。

前にクッキー貰った時、結構知る人ぞ知るスイーツの店のクッキーだったから、好きだと思ったんだ。