「副会長やっててクールで、女にモテてたけど、全然興味を示さない。そう言ってた。全然想像出来ねえわ」


すぐ、真壁さんと同じような笑い方をする灯織さん。


「会ってみてえけどな、昔の丞さん」


再び目を閉じる灯織さん。


「会ってもすげえつまんないと思うよ?ま、変わらず顔は良いけどね?」


ここに、3年いるけど、真壁さんはずっと仕事以外は昔から軽い雰囲気。

高校の時は別人だったのか。


「すげえ自信」


「俺から顔の良さ取ったら、何も残んないもん」


「だな」


「うわ、そこは否定してくれても良くない?」



「そうだな。アラサーで語尾に" もん "は寒い。」



「否定して欲しいのそこじゃない」



泣きそうになる。

なんでこんなに、仲、良いのに。

でも、取り繕うために振舞っている訳じゃなくて、今の時間だけでも " 幸せでありたい " のだとしたら……?


だめだ、泣くな。

今は、灯織さんに綺麗になってもらう時間なんだ。



「俺ね、昔は馬鹿真面目でさ。なんなら、耀介の方が女にヘラヘラしててなんだこいつって思ってたんだよね」



エクステをつけ終えて、メイクに取り掛かる。