「灯織曰く、最近は軽くなってきたらしい。入学当初、俺が居合わせた時には、吐くだけじゃなくて、意識を失ってた。この前のは、吐くだけで治まったけどな。」



「んでそんなこと、言ってくんなかったんだよ」



「灯織が、言うなって。余計な心配かけたくねえからって。」



「は、あ?意味分かんねえよ!」



「灯織は、それだけじゃない。もっとお前らに言ってないことがある。きっと、俺が知らないこともある」


幸大は目を閉じて椅子に座る。


「灯織はずっと、明るい部分だけを俺らに見せてた。いいや、無理して明るい自分を作ってたのかもな」



「環さんみたいになりたかったけど、なれなかった。変われなかったって、話してた」



柿谷が絞り出すような声で話す。



「あいつは……お前らが言う通りサイコパスみたいなやつなんだと、思う。それでも、灯織と話してる時のあいつは、楽しそうだった。灯織も、楽しそうだった。」



苦しそうに話す柿谷。

その人間は、話を聞く限り、柿谷にとっては大事なヤツだった。けど、裏切られた。

周りにサイコパスだなんて言われるのさえ、辛いかもしれない。まだ、受け止められて居ないかもしれない。