柿谷と皇の様子から見て、2人もかなり戸惑っているらしい。



「大方、話は分かった。2人の関係が修復したら、ここにいる意味が無くなるなんて、俺たちに言ったら大変なことになるしな。だから、灯織は黙ってたんだろ」


俺がそう話せば、するっと柿谷の胸ぐらから手を離す井筒。



「じゃあ、居なくなって寂しくないように……?あの時言ったのは嘘なんじゃ」


犀川の言葉に、柿谷たちへ視線が集中する。


好きな相手を振って、セフレの元に。

そんなの、あってもおかしくない話。


でも皆、灯織がそんなことする人間じゃないと思ってる。



「あれは、本当だった」


皇が眉間に皺を寄せる。


「俺らの仲を壊した張本人が、その相手で、今もそいつの家に居るらしい」



理解が追いつかない。

こいつらの仲を壊した人間の元に、好きな相手を振って、手伝わせてでも会いに行き、体の関係を持って。


「なあ、柿谷。ひとつ聞いていいか」


「…ああ」


「お前らはなんで仲が壊れたんだ?」



グッと拳を握りしめて話し出す柿谷。


柿谷の彼女を追い詰めた人間がどういう関係かは明かされなかったが、その人間が今灯織といて、その事を灯織自身が選んだと話された。