「つーまーんーなーいいいいいいい」



俺の腕を掴んでぶんぶんと振る与坂。


灯織が学校に来なくなって、1ヶ月が過ぎる。


灯織の様子がおかしかったあの日を境に、学校では柿谷と皇がつるむようになった。


でも、楽しげな様子はなく、いつも眉間に皺を寄せて深刻そうに話していた。

そして数日後、その2人が俺らのところに来た。


___


「お前らに、話がある」


柿谷慎矢。

その後ろに、皇漸。

俺らからすれば、もはや恐怖や嫌悪の対象。



「灯織のことだ」



その言葉にクラス中が目を見張る。



「あいつは、俺と漸の過去のことを解決するためにこの学校に居たらしい。数日前、その過去の問題が全て、灯織のおかげで解決した。」


落ち着いた声色で話す柿谷。


「あいつが、学校に来なくなったのは、ここに居る目的がなくなったかららしい」


なんだそれ。

言葉を無くす。


「もしかしたら、もう、学校を辞めるかもしれない」


ドンッ


柿谷の胸ぐらを掴むのは、


「幸大…っ」


犀川が井筒の方を掴む。



「……んだよ、それ」


井筒の体が震えてる。

怒りで、震えている。