「丞さんって…前にクラブに一緒に来たやつ?」


「おう。耀介の高校の同級生で、一時期、丞さんの美容室でお世話になってた」



「なんで、そいつの香水がお守りなんだ…?」



もう、言ってもいいかな。



「俺が、初めて好きになった人。ほら、前にお前に泣いてるの見つかった時話した人だよ。すげえ好きだった人」


あんな一瞬。

俺が奇跡的に、好きになった人。



「俺を、柊吾の元へ送り出す時に、プレゼントしてくれたんだ。俺と同じ香水だって。すげえ酷い事頼んだのに、今までで1番キツい優しさだった。丞さんの、やり返しだったのかもな」


コテン、と柊吾の肩に頭を乗せる。


「単純に、俺への牽制でしょ」


柊吾は俺の頭を撫でる。


「それもそれでしんどいよ。俺の事、すげえ好きって分かるから。…しんどいよ」



「……やっぱ、理解出来ねえ」


慎矢の言葉。


「苦しいだろ。理解できないって。俺のこと理解してくれる人って、ガチで居ないんだよ。だから、俺はここにいる。柊吾は理解してくれる。……いや、一緒なんだ」



「んなの、ただの依存だろ。好き同士なのに一緒にいられねえとか、おかしいだろ」